コロナ渦を生きる人々へ、やさしい距離のしるし
作品紹介LPを見る制作期間 | 約1年(2019.08-2020.10)|実働時間:2ヶ月程度 |
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制作体制 | チーム制作(ODENKI) |
担当 |
関優志:ハードウェア設計・制御、電子回路設計 隅山侑衣子:企画、プロダクトデザイン、映像、Web |
スキル |
距離感を再考させるインタラクティブな行灯
コロナ渦を生きる人々へ、やさしい距離のしるし
作品紹介LPを見る制作期間 | 約1年(2019.08-2020.10)|実働時間:2ヶ月程度 |
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制作体制 | チーム制作(ODENKI) |
担当 |
関優志:ハードウェア設計・制御、電子回路設計 隅山侑衣子:企画、プロダクトデザイン、映像、Web |
スキル |
「離れないと見られないインタラクティブアートがあったら面白そう」という発想を発端に制作を始めました。
制作中に新型コロナウイルスが感染拡大し、社会的に「距離をとること」が必須に。「距離」という作品テーマは、図らずも時代のトレンドとなりました。そこで、エンタメとしての作品で終わらせず、コロナ渦の生活に役立つ製品としての側面も併せて考えることになりました。
生活の中で感じた以下2点の課題を踏まえ、視覚的・間接的に、ソーシャルディスタンスの実現を仕掛けるデザインを目指しました。
離れるて見ると初めて意味がわかる/別の絵に見える作品として、例えば以下のようなものがあります。
しかし、そのような作品を近づいて見たとしても、作品自体を見失うことはありません。本作は鑑賞者との動的なインタラクションによって、近づくと作品自体が見えなくなるところまで持っていくことで、アート鑑賞における距離感について問いかけます。
距離の確保を促す製品として、フロアサインやポスター等が多く活用されるようになりました。それらの注意喚起度は様々ですが、コロナの感染拡大が長期化する中で、「コロナ感」の強いものはかえって「慣れ」を引き起こし、効力が長続きしないようにも感じました。
また、家の中に注意喚起のサインを施せる人は多くないと予想します。ソーシャルディスタンスの喚起サインには、
日常生活から浮きすぎず、効力が持続するデザイン・仕組みが必要だと考えます。
灯りを生かしておきたくなる仕掛けとして、鑑賞しがいのある生き物「小人」を灯りの中に住まわせることにしました。そこで、以下のような「人が近づくと、驚いて姿を晦ましてしまう小人のストーリー」を描きました。
作品世界を表現するための要件を定義し、技術構成案を作成しました。当初は、行灯の側面にスマートフォンを仕込み、障子の背後から映像を表示する想定をしていました。
作品設定をもとに行灯の大まかなデザインをスケッチした上で、仕様を踏まえた詳細な設計を3DCADで起こしました。スチレンボードでプロトタイピングし、サイズ感や排熱機構の設計を見直すサイクルを3回程繰り返しました。
以下の2点のニーズを満たせることから、映像制作にはUnityを採用しました。
障子に映る影のように見えるようにマテリアル・レンダリングの設定をしています。また、鑑賞者にとって観察のしがいがあるように、様々なモーションをランダムにするようにプログラムを組みました。小人が行灯の外に飛び出さないよう、移動範囲を制限しています。
企画当初のスマホを使用するプランは、価格や制御面のハードルが高いと考え、プロジェクターを使用する方針に転換しました。
プロジェクターは行灯の中央下部に設置し、この1台で4面へ映像を投影します。近距離かつプロジェクターに対して非平行平行な面へ映像を投影するために、プロジェクターから出力した映像を魚眼レンズで屈折させる手段を取りました。
最終的に行灯の4面に適切な映像を写すためには、レンズでの屈折による歪みを逆算して、ソースとなる映像を変形させておく必要があります。映像をUnity上で適切に変形することが難しかったため、Syphonのサーバープラグイン(Funnel)を使用して、Unity上で実行中の映像をのopenFrameworksに入力しました。oFで4面の映像の各頂点を任意に移動して変形できるシステムを作り、実際の投影の様子を見ながら合わせられるようにしました。
行灯の底部には基盤とマイコンを、側面にはToFセンサを搭載することで、近づいた人の距離を検知できるようにしました。人の距離をマイコン経由でUnityに伝え、映像を変化させています。
影絵でも行為が分かりやすいように、シンプルな線で構成しました。人が近づくと驚いて身を隠し、人が離れてからしばらく経つと、安心して元気に踊ったりします。
小人のすみかとしての部屋らしさを意識して、和室をモチーフにしています。実際に畳を敷き、側面には障子を取り付けています。一般家庭のインテリアとして溶け込むように、クセのないデザインにしました。
行灯の中に蝋燭が入っているかのような光の揺らぎを、LEDで再現しています。
以下の点は品質が不十分なので、引き続き方法を探っています。(2020年10月時点)