ブックカバー『変身』

文庫本のカバーデザイン

『変身』ブックカバー 表1

あざやかな気持ち悪さ

フラン・カフカ作の小説「変身」の文庫本カバーをデザインしました。小説内で主人公に起こった事象の不思議さや気持ち悪さを、手に取りたいと思える範囲で表現することに挑戦しました。
制作期間 2ヶ月(2019.11-2020.01)|実働時間:2週間程度
制作体制 個人制作
スキル
『変身』ブックカバー 表4

コンセプトメイキング

小説の分析を通じて、表現のコンセプトとモチーフを検討しました。

この作品の描写は「それぞれの気持ち・家族の空気感が鮮明に浮かんでくる」ようだと捉えました。この描写の特徴を表すモチーフとして「変身してしまった主人公の身体感覚」や「変身してしまったことで、以前の関係性・社会性が崩壊していく様子」を扱うことにしました。以上を踏まえ「鮮やかすぎて気持ち悪い」というコンセプトを打ち立てました。

読書中に、天井の木目が人の体のパーツに見えた体験が想起されたため、このイメージをヒントに表現を膨らませていきました。そこで、主人公の身体感覚や、人間として振る舞えない煩わしさを、作中の描写でも印象的な「数多の足」を複雑に配置することで表現しようと考え、具象として「たくさんの足が浮かんで見えてきそうな部屋」を描いてみることにしました。また、以前の性質の崩壊の仕方が「じわじわと融け落ちる」ように捉えられたため、この感触を反映して描写することにしました。

制作プロセス

1.読書・コンセプトメイキング

読書中に印象に残った描写を適宜メモ・スケッチとして書き溜め、読後に整理して複数のアイデアを並べました。そこから表現する内容を絞り、コンセプトとモチーフを決定しました(前項参照)。また、身の回りでイメージに近いモチーフを探し、参考カットを撮影しました。

2.アイデアスケッチ

前項での決定事項に従って、初めは足や木目などを描いていました。しかし、具象に強い変形をかけると、結果的に何を描いているかが伝わらなくなってしまうことに気がつきました。そこで、溶け落ちる様子を主とした抽象表現に切り替えました。

アイデアスケッチ

3.描画実験

溶け落ちる表現を、色鉛筆、パステル、化粧品、アクリルガッッシュなど、様々な画材で試作しました。最終的には、じわじわとしたにじみが出る水彩絵の具を選びました。

描画実験

4.本番用イラスト制作

背景の色の模様を水彩絵の具でを描き、前景の線をペンで一本一本描画しました。

5.印刷用データ制作・印刷・裁断

背景と前景の2枚の絵をスキャンしたものをPhotoshopで加工して、ベースとなる1枚絵に仕上げました。文庫本の形に合わせて図案の位置決めをした後、文字組みの最終調整をしました。

印刷用データ
schedule update

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